よくある質問
呼吸器科編
★★ 呼吸器科篇 ★★
1.小児喘息は治りますか?
1,2年で治ることもありますが、遅くとも10代のうちに9割の人が治ると言われてます。
成人の喘息と違ってアレルギーの要素が多く、治療に反応しやすく、成長とともに自然治癒が得られやすいのです。
本人も親御さんも希望を持って治療に取り組みましょう。
※当院では下記のお子さんのみ診るようにさせて頂いてます。
専門でないことと、待合室で成人の方がゆっくり出来るようにしたいので。
1)親御さんが、すでにかかりつけ(信頼してくれてる)
2)小児科で、呼吸器疾患がなかなか治らない
2.成人喘息は治らないと聞きましたが、本当?
そうですね。残念ですが、病気には肺炎のようにかかっても治ってしまえばそれっきりという急性のものと、慢性肝炎のような長く続く病気があります。
喘息は、主に体質の変化によるものなので、「治る」、「治癒」という言葉は使いませんが、代わりに「寛解」という{発作を起こさない状態}を目標に協力して治療をして行きます。
そこに至るまでも徐々に快方に向かう(続けるべきクスリや、生活上の工夫が無理なく減る)ことがよい治療、日々の励みになることと心得てます。
3.発作の最中や、発作が治まってからの受診で、治療が受けられなかった事があり困った経験があるのですが
喘息でよくある誤解は、胸の音がしないから発作じゃないとか、
本人は息苦しくないのにゼーゼーが出てるから重症発作だとか、音にまどわされてることです。
「発作」は本人が息苦しい状態のことです。あなたが判断していいのです。
周りの人が信じてくれなくて悔しいこともあったでしょうが、 私はその訴えを真摯に受け止めて素早く適切に対応しますし、スタッフも訓練されています。
発作がないときに、来院されても同様です。
安堵して帰宅されるように努めますので、気軽に受診することをお勧めします。
4.喘息発作が起きたときの自己治療はどうしたらいいのですか?
3つを基本に
1.発作止めのスプレーを持ってたら、我慢せずに早めに使うことを心がけてください。出来るだけ我慢するようにとの指導や、1日4回と大まかに言われるものだから、6時間空けなくてはと思ってませんか。
まず我慢せずにとは、狭心症のニトロペンや腹痛・下痢のときのブスコパン・チアトンと一緒で、頭痛・歯イタのバファリンと違って、そのものが治療の一環なので、勘違いしないで。
それに、ニトロと同様で、早いうちほどよく効くので結果的に1日の使用量が減ってしまうことを実感で味わうと良いでしょう。
6時間空けは、解熱鎮痛剤から連想される勘違いです。
呼吸器学会の出してるガイドラインでは、1回に2吸入、1時間空けなら十分使えます。
緊急時は20~30分空けで2セットOK。
でも、それが1日4セット(1回2吸入として4回8吸入)を越えるようなら、他の薬剤の調整が必要な証拠なので、かかりつけ医へすぐ相談すべし。
この吸入1剤だけで済まそうとしてはいけません。喘息で一番危険なのはこの発作止めのみへの依存です。
厳しい発作がある日突然来ます。ご用心!
メプチン、サルタノールが主流。ベロテックは強力版。
2.呼吸法その1
「口すぼめ呼吸」:口笛の形で唇を窄めると、反対のようですが、長くたっぷり息がはけるので、吸い易くなります。喘息は息が吸えないのではなく呼けない事からくる苦しさなのを知っておいてください。たった今、試してみて。
3・呼吸法その2
「用手腹式呼吸」:女性は胸式呼吸の方が多く、複式は苦手ですので、両手を重ねてみぞおちの所に当て、やや上中向きに押しながら息をはいて下さい。
5.咳喘息・咳型喘息というのはどんな病気ですか?
喘息は、大なり小なり【息苦しさ】が続く喘息発作を繰り返す病気です。ちなみに、健康な人と同様な暮らしをしてる時期を「非発作期」といい、この期間の治療も大事です。
咳型喘息は、痰が絡んだり、出ても少量の【乾いた咳(乾性咳嗽)】が表立った病気で、咳き込みのあとの息苦しさは数分くらいで長くはないのが特徴です。
寝入りばなを始めとして夜の間の咳が多く、昼間は比較的元気なことが少なくないので、7~10日ついつい様子を見てしまいがちです。
1)市販薬では一時凌ぎにしかならない場合や
2)ほかの病気のサインだったりするので
はやめに受診し、レントゲンを診てもらったりしましょう。
6.咳が2週間以上続くときは
一度レントゲンを取ってみたほうが良いでしょう。
少なくとも二つは、診断できた瞬間に特効薬が決定します。
胸のレントゲンに経験の深い病院・医院をおすすめします。
レントゲンで異常がなければ、主に以下の3つを考えます。(成人)
気管支炎の遷延型(長引くの意)≧咳(型)喘息>アトピー咳嗽[咳]の頻度。小生の印象です。 ほとんどが、最初はいかにも風邪ののど痛、鼻の症状、頭痛、だるさ、熱があったのが、この主な症状が治ったのに、咳や声枯れ(嗄声といいます)だけ残ってしまったという方のようです。
アトピー咳について:前2者の治療に反応が鈍い場合は抗アレルギー剤が有効だと言う報告(それも確度の高い)があり、当院でも数パーセントは著効例があります。検査はその前に総IgEのみで結構ですから必ず。
PS:療養法の一つとして、積極的に入浴することをお勧めします。人間は元をただせば東アフリカの生まれなので温暖湿潤な気候が空気の通り道の「気道」に優しい環境です。寒暖よりも、乾燥・湿潤の方に影響されやすいので、入浴で湿った空気につかるのが良いのです。
7.プレドニンって?(掲示板No.392から抜粋・編集)
プレドニン自体はとても良いクスリです。現在でも重要な最強の抗炎症剤として要あらば処方すべきクスリです。
何が良くないかというと、説明なしにスルッと処方されることが多い。吸入ステロイドは効果充分で副作用が最小限だから、今時はに使いたいと思ったらこちらが最優先なのです。
もう一つ、病状とクスリの不釣合い。
長引く咳、咳喘息、喘息の大部分は大ナタのようなプレドニンで切るのような重症は少なく、古くからあるテオフィリンやβ-2刺激剤各種、吸入ステロイド、抗ロイコトリエン、漢方の組み合わせ方や量の微調整で始めるべきでしょう。
「【クスリに罪はありません。】使う人に信がおけない。」
皆さんも遭遇することが亡きにしもありません。ご用心ください。疑問?なら説明をきちんと受けましょう。
8.風邪の熱は
一度はしっかり出してしまいましょう。
解熱剤は38℃以上になってきついときに限定。水分補給は忘れずに。あまり熱がないのに出ないよう出ないようにと使うと、返って長引かせてしまいます。
熱はウイルスが悪さをしてるというよりも、人間のほうが治すために出してるのです。ウイルスは熱に弱いので、人間もくたくたになりますが、ウイルスは激減。早く治すコツです。
★内科篇(かかりつけ医、ホームドクターの立場から)★
9.「生活習慣病」って始めて聞くのですがどんな病気ですか。
高脂血症>高血圧>糖尿病←頻度順
動脈硬化への関与の度合いでいくと
糖尿病>高血圧>高脂血症(異論も有りますが)
以前は「成人病」と表現されていたものです。
生活がでたらめでも健診で何ともないヒトもいます。
診断されたからといって、自分の生活様式が招いたのだと責めないでほしい。すべての原因ではなく、遺伝、環境ストレス、職業上(家計のため)の負荷などいろいろなものの複合ですからネ。
Point「責めすぎない・逃げ腰にならない」
●1.高脂血症≒高コレステロール血症
コレステロールや中性脂肪(TG:トリグリセライド)が高めな状態
コレステロール自体は細胞の膜や抵抗力に関係するステロイドの材料で決して無用な悪者ではないことを知って置いてください。
余った分が血管の内壁に溜まって悪さをするのです。
動脈硬化の進展を防ぐための治療対象です。
青魚、植物性の油を多めにとると良い。卵、乳製品、レバー、イカ・海老は取り過ぎないようにと食事の工夫が必要ですが、肝臓が自前で8割を合成するので、庶民の食の楽しみを抑えても効果は薄いものです。何のための健康でしょうか。
ただし、総コレステロールが250mg/dlもあれば、やはり「百の説法より一粒のクスリ」かと。
●2.高血圧
血圧のウエの値が140以上か、シタが90以上の方は治療の対象です。
シタ(拡張期)は意外と皆さん気に留めないようですが、こちらの方が血管の柔らかさを反映し、動脈硬化の程度の参考になるので、測ったときみる習慣をつけて下さい。
食事療法はとてもシンプル。塩分制限ですが1日あたり7gは始めっからは泣きます。塩味、味噌、醤油に気を配り、麺物のスープを飲み干さない様にする事から行って見ましょう。
クスリは朝一回のものが主流で、脳卒中の予防効果のあるものや、腎臓を保護するものもあり、一般的です。
「薬を飲み出したら止められない。」というのは、人が持ってる根源的な本能からの反応なのは分かります。
が、内服することで自覚がしっかりして、食事や運動等の生活の様式が変わる事で、クスリが減ったり、要らなくなったりするんですよ。
頑張れ~。エール、おーっ!
10.続 生活習慣病
●3.糖尿病
本来は「高血糖」の病気。人間のガソリン=「ブドウ糖」は血液に溶けて体の各所に運ばれ、そこで細胞に吸収され酸素と穏やかな反応をしてエネルギーを作り出します。
そのブドウ糖が、上手く利用されずに血液の中に多めにとどまってるのが高血糖の状態。
それが元で、尿にも糖が余って出てきていたのを発見されたため糖尿病と言われるようになった。
1)空腹時、2)食後2時間、3)随時(食事前後のいろんな時間帯を云う)の各種の血糖値で、健康~耐糖能異常~糖尿病の分類をします。
「インスリン(インシュリン)」という言葉を覚えましょう。すい臓で作られるホルモンで、始めに言った上手な利用=ブドウ糖の細胞への取り込みに必要なホルモンです。
インスリンの不足や、これの働きが鈍くなる(インスリン抵抗性)が糖尿病の原因です。
治療:肥満や高脂血症があるタイプと、そうでないタイプで大別されます。
原則は、1)運動を増やす>2)過食をやめる⇒気持ち的に1)の方が前向きだから。で、血糖値の改善度を診ます。
それでも一定値以上ならクスリの援助が必要になります。
すい臓を刺激してインスリンを出させるもの、細胞のところでのインスリンの働きを手助けするもの、食後の腸からのブドウ糖の吸収を遅らせるものなどから選びます。
糖尿病は自己努力が報われやすい病気です。
生活面での工夫で予防や、クスリの減量、中止が可能です。希望をもって行きましょう。
携帯の方はこの後はPCからどうぞ!
11.肥満、高脂血症、糖尿病で薦められる運動療法・食事療法のことを簡単に教えてもらえませんか?
○ 肥満はBMIというもので判定するのが昨今の標準です。
Body Mass Index:体の塊り具合かな?
BMI=体重(Kg)÷{身長(m)×身長(m)}
18~22前後~25くらいが良い値です。30以上が病的。単位にご注意
:例
70Kg÷(1.7m×1.7m)=70÷2.89=24.2
50Kg÷(1.5m×1.5m)=50÷2.25=22.2
BMIを22とした時の体重が現在用いられてる標準体重。
ただ、大まかには(1)2階まで行くのにエレベーター等を使いたがるのか、階段にするのかでご自分の太り具合を見るのも一つの目安になります。(2)20才のころの体重から1割の増減内というのもあり。
● 3つとも運動療法からはじめる方が、入りやすく長続きするようです。
プラス嗜好なので精神的にも病気に付きまとわれる感覚が減り、原理的にも中性脂肪や糖が筋肉や内臓で消費されやすい体質の方へ改善され、インスリンというホルモンの節約にもなるダブル効果があります。
簡単な例:コンビニに行く時は、時間が勿体ない気がしても早足で歩くのを習慣に。
【無駄に動くこと】職場や、家庭で、用事をまとめて席を立つのではなく、一回一回済ませること。頭を使わず、カラダをやたらに動かす。小生も診察中、やたらにドアを閉めに立ちます。
【階段を探しては上がること】地下鉄・鉄道を使う習慣を。階段意外に多いですよ。下りは膝によくないので、電気仕掛けでも可。
● 食事療法
大筋で説明すると、肥満は体脂肪が多めに溜まっていること、高脂血症は血液中の中性脂肪が多くて肥満の準備、糖尿病は血液中のブドウ糖(糖の中で基本の単位)が多い状態。
いずれも血液で運ばれるエネルギー源が過剰な状態。
運動はこれを使ってやる方向、食事療法は、食べて摂る総カロリーを控えて、これらが高くならないようにする方向です。
ワン・ポイント:朝ごはんは食べること、3食のヒトより2食のヒトのほうが肥満度が高いという統計あり。
白ご飯の好きな方は、夜のドカ食いを避ける。意外でしょうがブドウ糖、中性脂肪になりやすい食品です。
晩酌の習慣のある方は、仕上げのお茶漬けや麺をやめる。カロリーてんこ盛りになります。
大まかですが、細かいカロリー計算でギブアップするよりは実用的かと存じます。
12.漢方は長く飲まないと効かないんですか?
実は、即効性の漢方が沢山あるんです。
例えば、No19の小青竜湯(ショウセイリュウトウ)
鼻水、鼻ヅマリ、痰の出る咳が主なカゼや気管支炎。喘息の軽い発作や、非発作期にも効果がある漢方です。
1時間以内に効き目があると言われてますが、長年の勤務医時代には職員から「10分で鼻水止まっちゃいました。ものすごく効くんですね!」と何度も高い評判を得たものです。
もうひとつ、No29麦門冬湯バクモンドウトウ
痰が絡んでなかなかスッキリしない空咳(dry cough)の方に処方すると、早い方は1日、遅くても2~3日で効果が実感できます。
喘息の方で軽い発作止めとして持ち歩いてる例も
一言知識:漢方はご自身が効き目を実感してこそ「証(ショウ)」があってると判断します。
そして、証があうと薬が飲みやすいという風に言われてます。
以上は漢方の中級者には常識。
5日分の処方からお試しを。
13.漢方その2--比較的長く使うもの
最近、巷で広まってるようですが、漢方にも保険の利くダイエット系の方剤あり。
No20防已黄耆湯(ボウイオウギトウ)とN62防風通聖散(ボウフウツウショウサン)で、ダイレクトな表現ですが、水肥り・カタ肥りで使い分けます。
必ず効果があるわけでは在りませんが、厚生省の認可した医薬品ですので、健康食品より数段の効能・副作用に対するノウ・ハウがあるので、安心してお使いいただけます。
まず1週分で飲めるかどうかのトライ。2~4週でご自分の実感で判断していただくのを原則に、その後を決めます。<H16.3>
ダイエット中の方々へアドバイスというか苦言を一つ
まず大きな話から、生物としてのヒトはイヌ科(熊も)、サル科系の雑食性です。反対にネコ科、トリの多くは肉食(植物はついでに食べる)タイプ。草食動物がその他大勢。
100万年以上人類はこの食生活で怪我や、感染症を自力で(自然治癒力)で治して生き延びてきたのです。まあ40才が寿命でしたが。
いいたいのは、普通に食べてるものは満遍なく食べることが、健康維持の本道ということです。
ある種の食品だけで、健康になるというのはここ50年で結果を出し切れてません。
ましてや、健康に痩せるとは二重のバランスを要します。
疲れやすい、やる気が出ない、風邪をひき易い・治りにくい。は、危険信号。
前向きな話:ご存知三大栄養素は炭水化物(主にブドウ糖になる)4Kcal,たんぱく質4Kcal,脂質(脂肪)9Kcal/g。そして意外と知られてないアルコール7Kcal。
炭水化物と脂肪は条件が揃うと効率よく体脂肪に変化します。が、タンパクは余分だと消化・吸収のためにカロリーを使うので、プロテイン/アミノ酸ダイエットが連綿と定着してるのです。でも「過ぎたるは及ばざるが如し」ご用心。
アルコールは分解に特殊な経路・酵素を使うので7Kcalまるままは脂肪化しません。ただビールは他の成分で特有の下腹に、ワイン、日本酒にもその傾向があります。
細かいことまでは、ともかくもビール党のヒトが焼酎やウイスキー(いわゆる蒸留酒)に主力を替えたら、結構痩せたという例が多いようです。
お試しを。
14.血液検査の簡単な見方や意味を教えてください
まずは「肝腎」から、
<肝臓>:GOT,GPT,γーGTPいずれも「G]で始まる肝臓に多く含まれる酵素で血液中に漏れ出ている分を測っています。40,40,50が正常値上限です。前2者がもっとも重要で肝炎などの判断に用います。細胞が壊れると多量に出るので、慢性では100前後、急性だと500、1000のことがあります。
γ(ガンマー)は、脂肪やアルコールによく反応します。100以上の人は運動や禁酒、休肝日で意外と早く改善します。
<腎臓>:尿素窒素(BUN)はタンパク≒肉、魚、豆の燃えカス、クレアチニン(Cr)は筋肉のガソリンの燃えカス。いづれも溜まると体に毒なので、排泄出来てるかを見ます。20、1.0が上限です。ご注意:「脱水」で一見同じように見えますが、くわしくはDrが判断できます。
<脂質>:コレステロールと中性脂肪(TGトリグリセライド)のことです。
コレステロールには3つの要素があります。総コレステロール≒善玉+悪玉。善玉はHDLコレステロール(密度の高い「リポ蛋白」)のことで、血管に溜まったコレステロールを底ざらえして肝臓まで運んでくるサルベージ船。悪玉はLDL(密度の低い)フワフワしたスライムのイメージで、血管にへばり付いていきます。 「総」、「悪玉」は220、140が上限です。ご注意:「善玉」は高いのが良い数少ない検査値ですのでお間違えなきよう。
中性脂肪は150ですが、食事の直後や、飢えているときはすぐに上昇します。変動しやすさは、ブドウ糖に近いもの。コレステロールと違って採血の前の行動と合わせて判断します。 300は流石に高いかな。
<尿酸>:腎臓とも関係。食事で捕った細胞や自分自身の細胞の「核」(話題のDNAの入れ物:高校や中学の理科を思い出して)の分解物と思ってたら近い。これを造りやすい人や、排泄が苦手な人が高尿酸血症といわれ、高めの人は「通風」発作を起こしやすくなります。9、10は治療の対象です。
<血糖>(血液中のブドウ糖):高い人が糖尿病、食後だけが問題の人などは「IGT](耐糖能異常)といい準備状態と診ます。 空腹時(何も食べてない状態)110以下正常。125以上糖尿病。食後二時間や随時で200以上糖尿病。
<HbA1c>(ヘモグロビン エー ワン シー):赤血球のあの酸素を運ぶ赤いヘモグロビンは血液というブドウ糖の溶解液に浸され続けるので、糖が高いと、平均値としてこの値が高くなります。5.8までが正常値。ただし、先の「IGT」ではこれが正常の場合あり。
<Hb>(ヘモグロビン:血色素):貧血を大まかに診ます。血液の赤みの度合いを数値化したもので、10くらいで症状が出ます。透析の方や肝硬変では8もありえますが、健康な人が急にこうなった時はどこかの出血を疑い、救急に対応を必要とします。
<CRP>(シーアールピー:P=プロテイン)C反応蛋白:全身の炎症に対する反応の強さを診ます。定性法(プラス、マイナス)で6(+)まであります。風邪の半数は(ー)。
<白血球>:正常値は年令でかなり違います。20才は7000~9000、50才は5000~7000、70才は4000前後。これは正式な資料からではなく、小生の経験的印象ですのであしからず。 細菌(バイ菌)に感染した時上昇します。肺炎、肓腸(正式には虫垂炎)で12000以上。 ウイルス感染(風邪≒上気道炎の9割、インフルエンザや嘔吐下痢症のロタもこれ)ではあまり上がらないか、少し下がったりもします。 20000を超えた時は白血病も考えなくてはいけません。赤血球や血小板が不足し、貧血、出血傾向(血が出やすい、とまりにくい)の症状を伴うことがあります。
GW記念で今日はここまで一気に書き下ろしてみました。かかりつけの患者さんの方々は、よくご存知の内容ですが、ホームページ閲覧の方々への利益還元?特典享受と受け取ってください。
ちなみに横に本は一冊もありませんよ。自慢、自慢、はいぃ~。
内容がマンゲル(医師コトバで大まかなこと)なのは、長所・短所併せ呑んで小生のプロとしての手法ではありますが、「誤り」ありましたら、ご容赦ください。日々点検の努力を致しますので。
16.抗生物質(抗生剤)は何にでも効くのでしょうか
抗生剤は万能ではありません。最近の学会では、抗生剤の乱用による耐性菌(抗生剤が効かないしぶとい菌)が増えてきてることを、臨床医に警告を出して、必死に防ごうとしています。よく効くからと1,2種類の抗生剤ばかり出したり、9割はウイルスが原因の風邪に必ず抗生剤を追加する、おなじものを1週間も続ける。すべて学会が戒めてる方法です。
良くないこと。重症呼吸器の臨床医だった小生としては、その付けで困難な治療を初回入院から味わうことが何度もありました。
抗生剤の使用そのものを否定するわけではありません。刃物は使いようです。
耐性菌を育てにくい使い方を守りましょうというのが主旨です。
以前は世の中全般に耐性菌が増えるとの根拠でしたが、最近になって、同じ抗生剤を使い続けるとその人個人の中でその抗生剤が効かない耐性菌が増えてるという報告が出てき始めました。つまりアナタそのものが不利益を被るのです。
具体的で現実的な対策は。
1.風邪・気管支炎(軽い方)で必要性が高いと判断が出た場合でも「3日間」のみ。要あればつづきは異なる抗生剤。
2.現在呼吸器がらみの抗生剤で、守備範囲が広く(広域といいます)、殺菌力の強い抗生剤が内服に限れば2剤あります。
他の抗生剤は少し偏りがありますが、使い分ける努力をします。
それと未だに製法ゆえに新しい強力な抗生剤は高価です。
化膿性の変化・所見のない風邪のときは、むやみに抗生剤を下さいと言わないようご理解ください。
化膿性扁桃炎、同咽喉頭炎では標準的で廉価な抗生剤でよく、難治な副鼻腔炎や通院で何とかしたい体力のある方の軽い肺炎には先の2剤を5日とか。
最後に、感染症(細菌が原因の)の治療は3者のバランス。
1)自然治癒力(患者さん自身の体力・抵抗力)
2)細菌の毒力とクスリに対するしぶとさ
3)そして抗生剤のパワーです。
敵が何であるかを調べること、菌にあった薬にすること、時間がなければそれなりに広域な抗生剤を数種類以上から慎重に選ぶこと、そして何よりも患者さんの体力アップ。療養法は大事なんです。
ウイルスが主体の時は、高齢の方や、糖尿病などで抵抗力の低い方では2次的な細菌感染に対して使います。でも基本ははひたすら体力です。
感染症全般のことと思ってよく考えて下さい。
17.ステロイドの吸入が喘息治療の主流と聞きましたが、少し副作用のことが不安です。
個人的には乱用の傾向に疑念を持ってます。日本にはテオフィリン系と言う50年の経験に裏付けられた良薬があり、交感神経刺激剤の持続型や、発作止めのスプレーがあるのです。テオフィリンはその安全性や、コスト・パフォーマンスに着目されヨーロッパが輸入してると言う話があります。
小生の師匠は、早くからイギリス流のステロイド吸入の有用性に着目し、その教えで他剤を多量に使っても回復しない、人工呼吸器まで追い込まれた患者さんに1日4回吸入するだけで劇的に回復するのを経験してます.そのころはステロイドの有用性はマイナーでした。
それが今では、内科・呼吸器科ネコも杓子も吸入です。
この歴史の流れを、よく吟味してください。
効きますよ、すごく楽になりますが、軽症者にも、幼児にも処方されてる現実には疑問です。
離脱(クスリの減量・終了)や何のクスリであるのか説明がなされてない患者さんが当院に来院されたとき、同業者に憤りを感じます。
「言わないウソ」こそ罪深い。
皮膚科でステロイドが処方されるのは自然です。
が、狭心症発作時のニトロは口の中の血管から吸収されるので早く効くのです。吸入ステロイドは口腔・気管・気管支で微量なりとも吸収され、全身に回る。
副作用ゼロのくすりはまずありえません。
最近になって、イギリスでまだ1研究班ですが白内障のリスクありとの報告が出ました。20年の経験でです。
なんと内服のステロイドも説明がなく処方されてた例が数例ありました。短期間であれば順当ですが。説明はそれでも要求される筈の事です。
説明がなっかた事に問題ありと言ってるのです。
患者さんの20年、40年先の心身の状態にも医師は責任を持つ義務があるはずです。
患者さんは、何のくすりかしっかり尋ねましょう。
PS:小生も離脱を踏まえた患者さんや、重症につき離脱がすぐには見えないのですが、今を楽にしなければと吸入を処方します。使い方の問題です。
PS2:説明がないことは何を意味するのか。あなたの人格はどう扱われたのか。よく考えたら、具体的に疑問を解消していく努力をしましょう。
18.鼻汁・痰・下痢は出した方が良いのでしょうか?
基本的にカラダに良くないものを排出する働きなので、すんなり出る分は出してしまいましょう。
鼻汁は、上手に片方づつですよ。お母さんたち、お子さんの鼻はきちんと吸ってあげられますか?
下痢は、出してしましょう。おなかの痛んだ後に来るものは、たちの良いものなので、大体排便のあと少し痛みが和らぎます。水様のときは脱水に気をつけて、チビチビとお茶っぱ系の水分を十二分に取りましょう。
痰は、二通りあることを知ってほしいのです。
1)膿性:主に黄色系のべったりした物。比較的に咳で簡単に出すことが出来ます。細菌感染が大部分関係してます。細菌と白血球の相打ちしたものが主成分です。時に、喘息で白血球の中の好酸球(アレルギーにも関与)が主体の痰のときも在ります。
2)粘液:透明~乳白色系で表面が滑らか。気管支炎や咳喘息・アトピー咳嗽、喘息で多く見受けられます。気管支の粘膜が菌の関与してない「炎症」により過剰に粘液を産生した結果です。
※痰は自分の目で一回一回確かめる習慣を。あと、毎日の便は体調の参考になりますよ。
2’)風邪が治ったのに、空咳が勝手に出たり、痰がからんだ感じがして咳払いをし続ける病状は、実は八割方は気管支の粘膜の浮腫(むくみ)で、そこの神経は痰とムクミの区別がつかないので痰のへばりついてるような信号を出してくるのです。チリチリ・ムズムズ・べったり感がそうです。
大事なことを一つ。
皆さんは咳をして痰が出たときのスッキリ感を本能的に好みます。それでつい痰を出そうとして咳払いをしますが、「過ぎたるは及ばざるが如し」です。出てこないからと言って咳払いをしすぎると、返って気管支の粘膜が過敏になってしまい、次の咳のスイッチが入りやすくなってしまいます。
「咳払いはほどほどに」を心掛けて下さい。
空咳系の病状から早めに回復する秘訣です。
19.最近長期の処方(2,3週から4週分を1度の受診で出してもらう事)が可能になったのは良いのですが、つい飲み忘れをしてしまいます。これでよいのでしょうか。
確かに手放しで、良いとはいえません。が、大部分の方は人間をしてるんです。調子が良かったり、気分的に病気を忘れられる気分のときは忘れてしまいますよね。
当院のことに限って言えば、安定した方は21、28日処方を原則に処方しております。
職員がマメなもので、次回来院予定表まで存在してますが、院長からすれば、2、3日遅くなった患者さんが、「2.3度のみ忘れてしまいました」とおっしゃた時は、文頭のように受け止めます。
と言っても、糖尿の方は頑張って逃げ腰にならない、いいかげんにしないことが肝要です。特別な病気ですから。軽くなるまではネ。
高血圧の方は、現在のくすりは1日ぐらいではひどいことにはなりません。心配しすぎず、また処方を貰いに気軽にくることのほうが大事です。
高脂血症,高尿酸血症はもう少し緩めです。
急性の病気は叉事情が違いますので、5日~7日がメイン。漫然と効果のないくすりを服用させる訳にはいかないのです。かつ、合わなかった時くすりの変更に健康保険上制約を受けるのです.
急性で3日、慢性で7日の時代は変わろうとしてます。もちろん、7日ごとの受診を好まれる方もいらっしゃいますから要望にはお応えしております。
小生も若いころ胃潰瘍の不良患者をしており、クスリが切れて、痛くなってから受診すると言う本能のままの人で、主治医にしょっちゅう、ボコボコに怒られてました.が、何も変わりません。怒られたからと言って変わらないほうが多いのではないのでしょうか。皆生活に追われて時間が作れなかったり、いい気になったりいろいろその人なりに事情があるのです。その背景も分かろうとしない人物に説教されても、30台のDrに50、60の人間がどこまで従う気になるものやら。要は相手の立場を思い、移入(自分がその立場だったらと)できるか、その辺が核心かと存じております。
現代的な医療は、恐怖で人を導きません。怖い合併症の話ばかりでは、一部の方が脱落(治療を止めて逃げ出してしまう)すると言う事実があります。前向きな話の出来る先生を見つけて、本当の「かかりつけ医」になってもらいましょう。
注)睡眠薬だけは14日が限度のまま変更があってませんので、ご留意ください。⇒<H20.4>より28日可能に。
20.アレルギーの検査のこと教えてください
今主流なのは、採血をして「IgE」(イムノグロブリン=免疫の働きを受け持つタンパクのABCD,E番目)の量を調べるものです。
「非特異的IgE」(対象の種類を問わない)というのが全体の量をあらわし、現在アレルギーが起きてるかを診ます。300、500、1000という辺りで強さを判断していきます。
スギとか海老とかどれに反応するのかを診るのが、「特異的IgE」(個別のと考えてください)で、これを5~7種類吸引系か食事系で選んで測る先生方が多いようです。
問題なのは、どれであろうと1項目が3割負担の方で390円かかりますので、他の手技料、判断料を含めて3千円~5千円かかり、普段の窓口の支払いに上乗せされるので、5千円を超えてしまってびっくりされる方も多いと存じます。採血だけでこんなにと。
この検査だけは、見た目の簡便さの割りに負担金が多いので、先生に勧められたら負担金のことを尋ねて「する、しない」を決めましょう。やっても3年に一度ペースでしょ。
それと、精度が意外に低いこと。知っておいて下さい。症状の割に低くとか、症状が全然なのに6+もあり、そのときは症状を優先。
手順としては、1)非特異的IgEとアトピー鑑別試験(体質のチェック)の2項目をやって、2)特異的IgEを測る。1)が低ければ2)が省けます。当院ではこのパターンです。
もう一つ、以前からある方法で、「皮内テスト法」です。主に前腕から上腕にかけて5~7種のアレルゲン(素モト)を注射して反応を診ます。IgEより負担は少ないようですが、正確さがやや劣ります。
コストを考えてくれる先生がやってる傾向を感じます。
PS:なんでもかんでもアレルギーではありません。例えば、アスピリン喘息は即時型アレルギーではなく、解熱鎮痛剤の毒性(トキシック)への反応です。「炎症」には菌・ウイルス、怪我、毒、アレルギーなどいろいろあることを知っておいて下さい。
【以下 後日 といってましたが、時折リニューアルしてます。】
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